Land of Spiral [29]





「それではわたしたちは行きますね。あまりもたもたしていると変なことに巻き込まれそうだ」
自分から巻き込まれにいったのはどこのどいつだ、とジト目で傍らの彼をみてエマニエルはごちた。―ま、彼らしい。
「あたしも、金を探しにいかなきゃ」
「ああ」
グラドは頷いて、思い出したように口を開いた。
「二人には色々と世話になった。是非報酬を貰って欲しい」
エマニエルの目が燦燦と輝いたのは言うまでもない。
「それじゃ、楽しみにしてるよ」
「―この国がまた落ち着いたら、またお会いしましょう」
「元気でな」ティオは穏やかに笑って言った。
二人の背中が通路に消えていく。二人の間にもまた、新しい空気が生まれていた。―本人達は、気づいていないようだが。
「わたしたちも行くか」
「ああ」


内戦が起きてから、三日が経った。
それでも、時間は支障なく流れている。子供達は庭で遊び、戯れる毎日。
「・・・ティオ・・・」
戦争は終わったのか、それとも、今尚続いているのか。情報は今だ入ってこない。
ここのところ、マニアはずっと部屋にこもりきりで、食事を取るとき意外は、外に出ていなかった。
その時だった。部屋のドアを激しく、ノックする音が聞こえたのは。
「はいはい、今出ますよー」マニアはドアに駆け寄った。
ドアはなお激しく、ノックされる。
「うるさいなあもう・・・。出るって言ってるでしょ!!」
ドアを開けると、やっぱり。あの双子兵士だった。ラッツとレットンは、慌てふためいた顔で、マニアに喋る。
「「マニアさん!早く来てください!早く!」」
「まったく、ヤッパリあんた達ね・・・。何よ、ご飯の時間にしては早・・・」
マニアが言い終わらないうちに、二人はマニアを抱え、階段を下りていった。
「ちょっと!何すんのよ!」
「「いいから早く!!早く来てださい!!」」
マニアは玄関で下ろされた。「・・・何なのよ、一体・・・」
そう言って、ふと、前を見ると―、
「・・・ティオ・・・!」
目の前にいたのは、夢にまで見た、その人だった。
「帰ってきたぞ、約束通り」
マニアは、何か言おうとした。言おうとしたが、頭が、追いつかない。目の前がにじむ。にじんで―、見えなくなる―
代わりにマニアは、その体に、力いっぱい、抱きついた。
「ただいま、マニア」
孤児院の子供達がやってきて、二人を祝福した。
「よかったねー、マニアさん」
「ラブラブじゃん!熱いなぁー」
「おみぇでとー」
ふと隣を見ると、グレイシアとロジャーが、二人を見つめていた。マニアが笑うと、ロジャーが、
「やっと笑ったか、このイチゴ女。コイツがどれだけ心配してたか」と言ってグレイシアを指差した。
「マニアさん・・・、もう隠し事、しないでくださいね・・・」グレイシアは微笑んだ。
「・・・・うん・・・、わがった」
マニアは涙声で、そう答えた。











END.(novel top)


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